弁護団声明

全ベルコ労働組合不当労働行為解雇事件  原告ら弁護団


 本日、札幌地方裁判所民事第5 部合議係(裁判長岡山忠広)は、冠婚葬祭業最大手の株式会社ベルコが労働組合を結成した従業員を狙い撃ちにして解雇した事件において、労働者の救済を拒否し、解雇を有効とする不当な判決を言い 渡した。
 本件は、全国に32の支社があり350を超える支部・代理店を擁する被告ベルコ札幌手稲支部で営業活動に従事していた従業員2名が、あまりに過酷な労働とノルマ、低賃金を改善するために労働組合を結成しようとしたところ、被告ベルコが組合結成を嫌悪して2人を実質的に解雇した事件である。
 本件の最大の特徴は、被告ベルコが実質的に全国7 0 0 2 名(2017 年3 月現在)の従業員を擁する大手企業であるにもかかわらず、直接労働契約を締結した正社員をわずか3 5名に抑え、それ以外の従業員については、労働契約を締結せず、組織丸ごと業務委託契約として営業している点にある。
 被告ベルコは、32の支社長から支社の従業員、全国の代理店主・支部長までほぼすべて業務委託契約とし、現場で実際に営業活動を担い、葬祭を執り行う労働者は、被告ベルコではなく、被告ベルコと業務委託契約を締結した「支部」「代理店」に雇用させることによって、被告ベルコとは一切雇用関係が生じないような仕組みを作り上げ、時間外労働手当の支払い、社会保険料の事業主負担、労働安全衛生等、あらゆる労働関係法規の適用を免れている。
 しかし、この契約形式と実態は著しく乖離しており、被告ベルコの本社が支社と支部・代理店に対し直接指揮命令をして従業員を働かせ、人材の採用や人事異動などもベルコの指導に基づいて行われているにもかかわらず、業務委託形式を濫用して、ベルコは使用者としての雇用責任を一切負わないという仕組 みになっている。業務委託形式を悪用し、これほど大規模かつ徹底的に使用者責任を逃れようとする事件は、日本の労働裁判史上、これまでに例がない。
 このような業務委託形式の濫用による脱法行為から労働者をいかに救済するべきか、これこそが本裁判の最大の争点であった。原告らは、業務の実態から真の雇用主が被告ベルコであることを豊富な証拠に基づき立証し、業務委託契約形式をとっている形式的雇用主である支部長は、実態を見れば独立した雇用主ではなく、被告ベルコに従属した「商業使用人」にすぎないと主張してきた。

 本日の判決では、原告らの主張を踏まえ、労働法規の脱法を許さない新しい法理論を採用し、労働者救済の新たな地平を切り開くことが強く期待されていた。しかしながら、判決は、形式的な契約形式にとらわれ、動かしがたい膨大な証拠を採用せず、原告らの労働の実態を顧みることなく、被告ベルコが構築した業務委託契約の濫用に無批判に追従し、被告ベルコと原告らの雇用関係を認めようとしなかった。司法の役割の放棄と厳しく断罪せざるを得ない。
 弁護団は、現在、日本の雇用社会に蔓延し拡大している脱法的な「雇用によらない働き方」に苦しむ多くの労働者の希望に応えることなく、労働者救済に背を向けた本判決に対して、強く抗議するとともに、全国の労働者・労働組合ともに、勝利を目指して引き続き全力で奮闘することを誓うものである。
以上